本記事では「DXとは何か」という基本から、製造業、小売・金融・物流など業界を横断する有名企業の成功事例24選を具体的に解説します。単なるデジタル化(IT導入)ではなく、ビジネスモデルと組織文化を根本から変革し、競争優位性を確立するDXの本質を事例から学びましょう。
【目次】
- DXとは何か?
- 製造業のDX事例
- IT・情報通信業のDX事例
- 建設・不動産業のDX事例
- 医療業界のDX事例
- 食品・小売・飲食業のDX事例
- 金融業のDX事例
- 物流・運輸業のDX事例
- DX成功の共通点
- まとめ
- よくある質問
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DXとは何か?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を用いて、ビジネスモデルや組織文化そのものを変革し、競争優位性を確立することです。単に既存業務を電子化するデジタル化(デジタイゼーション)とは異なり、企業のあり方を根本から変えることが重要となります。市場変化に対応し、新たな価値を創出するための重要な戦略であり、企業の新たな成長軌道を描くための核心的な施策です。
デジタル化との違いは?
デジタル化には2つの段階があり、それらの延長線上にDXがあります。
- デジタイゼーション(Digitization): アナログ情報のデジタル形式への変換(例:紙の書類をPDF化)
- デジタライゼーション(Digitalization): 個別の業務プロセスをデジタル技術で効率化(例:電子契約による押印・郵送作業の廃止)
- DX(デジタルトランスフォーメーション): デジタル技術を前提としてビジネスモデルや企業文化を根本から変革し、新しい顧客価値や競争優位性を創出する戦略
つまり、デジタル化は「手段や基盤」、DXは「目的やゴール」であり、目指す変革の範囲や深さが異なります。
製造業のDX事例
ここでは、製造業界の主要なDX事例をご紹介します。
- トヨタ自動車…MIで材料開発を高速化しコスト削減
- パナソニック…AIでSCMを最適化
- JT…AI予測で精密マーケを実現
- 島津製作所…データ人材育成でDXを自走化
- 晃祐堂…AIで職人技を再現し生産性向上
- IT/情報通信業…ビッグデータ活用と防災・交通DXが進展
- 建設/不動産業…AI点検とWeb個別化を推進
- 医療業界…AI診断支援とゲーム型研修で高度化
トヨタ自動車の事例
トヨタ自動車株式会社は、材料開発の領域で「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」を駆使したDXを推進しています。
【マテリアルズ・インフォマティクス「WAVEBASE」の導入】
・AIやシミュレーションを駆使し、材料の性能と構造・組成をデータで結びつける。
・従来は経験や勘に頼ることが多かった材料開発を、データに基づいた客観的な分析・評価に移行させる。
【開発プロセスの高度化と効率化】
・AIによるデータ分析によって、人間には見分けがつかない材料の微細な違いを可視化し、不具合の要因を特定する。
・従来は時間のかかっていた実験や検証プロセスをデータで裏付け、より早く正解に近づけることが可能になった。
・開発期間の大幅な短縮とコスト削減に貢献している。
MIの活用により、開発コストを削減し、人間の発想を超えた革新的な新素材の早期実用化を可能とし、電動化技術における国際競争力の強化に直結しています。
参照元:https://www.toyota.co.jp/wavebase/
パナソニックの事例
パナソニックホールディングス株式会社では、データサイエンスを活用したサプライチェーンマネジメント(SCM)のDXを推進し、全体最適に基づく高度な需給管理を実現しています。
【AI需要予測による生産・調達計画の高度化】
販売実績、在庫、生産計画、物流データなどを統合し、AIによる需要予測モデルを構築することで、市場変動に即応した生産・調達計画が可能となった。
【在庫最適化とコスト削減の実現】
これにより過剰在庫や欠品リスクを低減し、リードタイム短縮とコスト削減を両立。
【シミュレーションによる意思決定支援】
シミュレーション技術により複数シナリオを検証し、最適な意思決定を支援する体制を整備。
【データ共有による経営判断の迅速化】
現場と経営層が同一データを共有することで、迅速かつ精度の高い判断を実現し、競争力強化と収益性向上につなげている。
参照元:https://news.panasonic.com/jp/press/jn250620-4
JTの事例
JT(日本たばこ産業株式会社)は、データとAIを活用して「顧客ロイヤルティの向上」と「マーケティング効率の最大化」を同時に追求することで、具体的な費用対効果を生み出しています。
【顧客行動の予測】
過去の購買データや顧客属性など多様な情報をAI(機械学習)で分析し、将来どの銘柄を購入するかを高精度で予測するモデルを構築しました。
【精度の高いターゲティング】
予測結果に基づき、関心度の高い顧客層を的確に抽出し、個々に最適な銘柄や情報を提案する精緻なターゲティングを実現しました。
【マーケティング施策の最適化】
絞り込んだ顧客に対しキャンペーンを展開することで反応率と購入率が向上しました。
これらのマーケティング施策により、費用削減と売上向上の両面で具体的な成果を上げています。この成功により、継続的な改善サイクルを回すことで長期的な競争優位の確立にもつなげており、今後も高度なデータ活用を通じて予測精度と効果のさらなる向上を目指し、DXを継続的に推進しています。
参照元:https://www.brainpad.co.jp/news/2019/01/29/9295
関連記事:顧客ロイヤリティとは?指標・計測方法・向上させるための5つの戦略
島津製作所の事例
株式会社 島津製作所は、分析・計測機器で培った知見を活かし、全社的なDX推進のため、データ活用人材の育成に戦略的に取り組んでいます。
【段階的な教育プログラムの導入】
・階層別研修として、全従業員向けのデータリテラシー教育からデータサイエンティスト育成まで、習熟度に応じた研修を展開し、管理職にはデータドリブンな意思決定を促す研修を実施。
・専門家育成では、統計解析や機械学習など実践的スキル習得に注力しています。
【実務を通じたOJT(On-the-Job Training)】
実際の業務データを用いたプロジェクト参画により実践力を強化し、成功事例を共有することで文化として定着を図っています。
【内製化の推進】
分析基盤構築から運用まで担うエキスパートを育成し、自律的なDX推進体制を強化しています。
これらの施策により、全従業員のデータ意識を向上させつつ、DXを牽引する専門人材を育成し、製品開発や生産効率の改善に貢献しています。
参照元:https://www.shimadzu.co.jp/sites/shimadzu.co.jp/files/ir/pdf/shimadzu_integrated_report_2023.pdf
晃祐堂の事例
株式会社晃祐堂は、伝統工芸品である熊野筆(化粧筆)の製造において、熟練職人の「匠の技」をAIで再現するDXに取り組んでいます。
【AIによる技術の再現】
・匠の技術のデータ化
熊野筆の核となる工程は、毛先を切らずに整える「穂先揃え」です。この工程で職人の手指の動き、筆の握り方、作業時の圧力、穂先の形状などをセンサーや高解像度カメラで計測し、詳細なデジタルデータとして蓄積しました。
・予測モデルの構築
動作データと完成品の品質評価を関連付け、最適な動作を導き出すAIモデルを構築し、職人技を数値化しました。
この手法により、技術の属人化が解消され、職人不足や高齢化による技術の途絶リスクを低減しました。また、AIが示す最適な動作基準を用いることで、若手職人の育成期間を大幅に短縮し、高品質な筆の安定供給と生産性の向上に成功しています。
参照元:https://hiroshima-dx.jp/pages/124/
IT・情報通信業のDX事例
IT・情報通信業のDX事例として、LINEヤフー株式会社とソフトバンク株式会社は、それぞれ独自のデータと技術を活用し、事業と社会課題の解決を進めています。
ヤフーの事例
ヤフーは「Yahoo! JAPAN」をはじめとする検索・地図・EC・決済など多様なサービスから得られるマルチ・ビッグデータを統合活用しマーケティングDXを推進しており、これにより従来は把握できなかったユーザー像や購買意図を可視化し、広告効果の高度な測定や精度の高いターゲティングを実現しています。
参照元:https://www.lycbiz.com/jp/service/yahoo-data-solutions/
ソフトバンクの事例
ソフトバンクは通信基盤とAIを活用し、防災情報の迅速化や避難所運営のデジタル化、自動運転バスによる交通課題の解消といった防災DX・交通DXを推進しており、これらの取り組みにより地域のレジリエンス向上や「誰も取り残さない」持続可能な社会インフラの実現に貢献しています。
参照元:https://www.softbank.jp/corp/sustainability/materiality/
建設・不動産業のDX事例
建設・不動産業界では、DXによりインフラ維持管理の効率化と顧客体験の向上を図っています。八千代エンジニヤリング株式会社はAI活用で業務効率を改善し、野村不動産ホールディングス株式会社はWebパーソナライズ化で顧客接点を高度化しています。
八千代エンジニヤリングの事例
老朽化が進む社会インフラの点検にAIを活用。河川・港湾の護岸など長大構造物の画像から、ひび割れや劣化を自動検知する「GoganGo」を導入し、目視点検をサポート。これにより工数削減と高精度な評価を実現しています。
参照元:https://www.yachiyo-eng.co.jp/news/2021/02/post_527.html
野村不動産グループの事例
野村不動産グループは、不動産情報サイト「ノムコム」におけるWebパーソナライズ化を推進し、顧客体験の向上を実現しています。顧客の閲覧履歴や属性データを分析するMAツールを活用し、最適な物件情報や市場情報をWebサイトにリアルタイムで提供。パーソナライズ化された情報が表示されることによりサイト回遊率を向上させ、興味度の高い顧客との接点拡大や内覧率・契約率向上につなげています。
参照元:https://www.nomura-re-hd.co.jp/dxpromotion/
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医療業界のDX事例
医療業界のDX事例として、昭和医科大学はマルチモーダルAIで診断支援を高度化し、ノバルティス ファーマ株式会社はデータとデジタル技術を駆使できる人材の育成と、組織的な変革に積極的に取り組んでいます。
昭和医科大学の事例
画像とテキストを組み合わせたAI検索システムを歯科医療に導入。埋伏歯の早期発見や異常所見の自動抽出を可能にし、医師の診断・検索プロセスをAIが支援することで、診断の見落としリスク低減や診察時間短縮、診断精度向上に寄与しています。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000073157.html
ノバルティス ファーマの事例
ノバルティス ファーマは、DX推進のため人材育成と組織変革に注力しています。特に、医療従事者へデジタルチャネルで情報提供する「デジタルコミュニケーター」を配置し、MRと連携した新しい顧客対応モデルを構築。さらにデータ&デジタルトランスフォーメーション部を設立し、データサイエンティストの採用やMRの異動によりデジタル活用を強化しています。全社でデータ利活用を広げるエバンジェリスト育成や、マーケティングアカデミーを通じたDX教育も推進し、組織全体で持続的な変革を進めています。
参照元:https://www.novartis.com/jp-ja/stories/digital/dc2
食品・小売・飲食業のDX事例
小売・飲食業界のDXは、顧客接点の高度化からサプライチェーンの効率化まで多岐にわたります。
- ニトリ…AI開発・データ活用の内製化
- キリンビール…MJ(未来の需要予測)プロジェクト
- キユーピー…原材料の不良品検知AIの導入
- ピーチ・ジョン…ECのパーソナル体験の実現
- 資生堂…EC×オウンドメディア連携による接客高度化
- バロックジャパン…OMO推進のための顧客データ統合
ニトリの事例
株式会社ニトリホールディングスは、小売業界のDXを推進するため、データ活用とAI開発の内製化に戦略的に取り組んでいます。
【内製化への道筋】
・専門組織の設立
データサイエンスやAI開発を担う専門人材を社内で育成・確保する、デジタル化推進室を設置。
・データサイエンティストの育成
現場の課題を理解した社員が自らデータを活用できるよう、体系的な教育プログラムを導入。
・内製化ツールの開発
AIの開発・運用に必要な、分析ツールや基盤を自社で構築することで、外部への委託費用を削減・開発スピードを向上。
ニトリはAI開発を内製化することで、外部ベンダーへの依存から脱却し、開発コストを大幅に削減するとともに、現場のニーズに即したAIモデルを迅速に開発・導入できるようになり、開発速度とコストの改善を実現しました。さらに、内製化したAIは、需要予測、在庫最適化、店舗レイアウトの最適化などに活用され、サプライチェーン全体、および店舗運営の効率化と高度化という業務の高度化にも貢献しています。
参照元:https://www.nitorihd.co.jp/ir/items/959ec94c34b99b16a5412ca7981f5d22.pdf
キリンビールの事例
キリンビール株式会社は、MJ(未来の需要予測)プロジェクトを推進し、サプライチェーンの最適化を目指した高度な需給予測システムを構築しています。
【MJプロジェクトによる需給予測システム】
・取り組みの概要
従来の販売実績データに加え、気象データ、競合のプロモーション情報、イベントスケジュールといった社外のビッグデータをAIで統合的に解析。これにより、ビール類の複雑な需要変動をより正確に予測するモデルを構築しました。
・システムの特徴
予測精度を日々高めるため、AIが自律的に学習しモデルを改善する機械学習の仕組みを導入しています。
高精度な予測に基づき、生産計画、在庫配置、原材料調達を最適化することで、欠品ロスの削減と過剰在庫の抑制を両立させています。特に、予測精度が向上したことで、サプライチェーン全体で無駄を減らし、経営効率の改善に大きく貢献しています。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000503.000073077.html
キユーピーの事例
キユーピー株式会社は、製品の製造工程において原材料の不良品検知にAIを導入し、品質管理の高度化と効率化を進めています。
【AI導入プロセス】
・データ収集と教師データの作成
検査ラインにカメラを設置し原材料の画像を収集。熟練検査員が良品・不良品を判定し、AI学習用の教師データを作成しました。
・AIモデルの開発と導入
教師データを基に深層学習モデルを構築し、不良品を自動検知するAIを開発。製造ラインに組み込み、リアルタイム検査を実現しました。
【効果と成果】
・検査精度の向上
人による目視検査では見落とされがちだった微細な不良や異物も検知可能となり、品質が安定しました。
・省人化とコスト削減
検査工程の一部をAIが担うことで、人件費を含む検査コストの削減にも貢献しています。
・トレーサビリティの強化
AIによる検知ログがデータとして残るため、品質問題発生時の原因究明とトレーサビリティが容易になりました。
参照元:https://www.kewpie.com/newsrelease/2019/1152/
ピーチ・ジョンの事例
株式会社ピーチ・ジョンは、ECサイトのリニューアルを通じて、店舗のような接客体験をオンラインで再現する「パーソナル体験」の実現に注力しました。
【パーソナル体験実現の具体的な手法】
・AI/データ活用による推奨の最適化
顧客の購買履歴、閲覧行動、サイト内検索データなどをAIで詳細に分析。
従来の画一的なレコメンドではなく、「前回購入したブラのサイズ」「好みのカラー・デザイン」といった個別ニーズに基づき、最適な商品やコーディネートをレコメンドします。
・デジタル接客コンテンツの充実
AIチャットボットを導入し、サイズ選びやフィット感に関する顧客からの質問にリアルタイムで対応。バーチャル試着や、専門スタッフによるライブコマースを通じて、オンラインであっても、店舗での接客に近い体験を提供しています。
これらの施策により、顧客は迷うことなく自分に合った商品を見つけられるようになり、ECサイトの売上向上と顧客満足度の向上に繋がっています。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000191.000009170.html
関連記事:チャットボットのメリット・デメリット|導入時の注意点、導入事例紹介
資生堂の事例
株式会社 資生堂は、ECサイトとオウンドメディアを連携させることで、店舗のような「最適な接客体験」をオンラインで再現するDXを推進しています。
【EC×オウンドメディア連携の仕組み】
・データ統合による顧客理解の深化
ECサイトの購買履歴や商品評価データと、オウンドメディア(美容情報サイト、SNSアカウントなど)の閲覧データを統合・分析。これにより、顧客の潜在的な関心や美容の悩みを深く理解します。
・パーソナライズされた情報提供
顧客がオウンドメディア内で特定の美容記事(例:シワ対策)を閲覧した場合、ECサイトではその課題解決に特化した商品レコメンドや美容カウンセリングへの誘導をリアルタイムで表示。AIチャットボットやオンラインカウンセリング機能も連携させ、顧客の美容状態や好みに合わせた情報やサービスを提供します。
これらの仕組みにより、顧客のサイト回遊率やエンゲージメントが向上し、購買への意欲を高める効果が生まれています。
バロックジャパンの事例
株式会社バロックジャパンリミテッドは、OMO(Online Merges Offline)戦略を推進するため、顧客データの一元化とパーソナライズされたデジタル接客を核とした、マーケティングDXに取り組んでいます。
【OMO推進のためのマーケティングDX】
・データ統合による顧客理解
実店舗とECサイトの顧客データを統合し、全チャネル横断での顧客IDを確立しました。これにより、顧客が「いつ、どこで、何を買い、どのような情報に触れたか」を総合的に把握できるようにしました。
・デジタル接客の高度化
統合データに基づき、顧客がECサイトで閲覧した商品や購入履歴を分析。その情報を店舗スタッフが持つデジタルツール(アプリなど)に連携します。スタッフはこれらの情報を踏まえた上で、お客様へスタイリング提案などが可能になりました。
オンラインの利便性とオフラインの接客体験を融合させたことにより、顧客エンゲージメントと購買率の向上に貢献しています。
参照元:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_dx_baroque_japan_limited/
金融業のDX事例
ここでは、金融DXの主要分野と各社の特徴をご紹介します。
- りそなHD:内製化強化とLLM活用で業務高度化・地方創生支援
- 静岡銀行:データ活用・人材育成・クラウド化の三位一体DX
- ゆうちょ銀行:分析専門組織設置とデータ人材育成で意思決定を高度化
- 横浜銀行:Webの1to1マーケで顧客体験最適化
- ビューカード:内製アジャイルとRPAでCX・EX向上
りそなHDの事例
株式会社りそなホールディングス(りそなHD)のDX事例では、「内製化の推進」と「地方創生・LLMプロジェクト(地域金融機関向けAI活用)」という2つの軸での取り組みが進んでいます。
【内製化の推進】
・専門人材の育成
ベンダー依存体質からの脱却を目指し、データサイエンティストやクラウドエンジニアなどの専門人材を社内で集中的に育成・採用。内製開発チームを強化し、企画から開発・運用までを迅速に行える体制を確立しました。
・スピード向上
市場環境や顧客ニーズの変化に合わせた、サービス開発のアジリティが向上しました。
【地方創生・LLMプロジェクト】
・地方創生DX
地域金融機関のネットワークを活用し、地方企業に対してデジタル技術を活用した事業承継や経営改善の支援を展開。
・LLM(大規模言語モデル)活用
ChatGPTなどのLLM技術を金融業務に導入し、行員の業務効率化や、より高度な顧客対応への活用に向けた実証実験を進めています。
参照元:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_resona_llm_joint_research/
静岡銀行の事例
株式会社静岡銀行は、全行的なDX推進のため、データ利活用、人材育成、環境構築の3つの要素を並行して展開する戦略を取っています。
【DX並行展開の具体的取り組み】
・データ利活用
顧客の取引データを集約・整備したデータ分析基盤を構築し、AIによる融資審査の効率化や顧客ごとの最適な金融商品提案を実現し、業務効率と顧客体験の向上を図っています。
・人材育成
社内研修や外部プログラムを通じたデータサイエンティストなどの専門人材育成に加え、全行員へのデータリテラシー教育を実施しています。これにより、データに基づく意思決定と現場力の強化を進めています。
・環境構築
システム基盤のクラウド化と企画からリリースまでのサイクルを短縮するアジャイル開発手法を導入し開発スピードを向上。新サービスの迅速な市場投入が可能なDX環境を構築しています。
これらの三位一体の取り組みにより、静岡銀行は競争力を高め、持続的成長を実現しています。
参照元:https://www.resona-gr.co.jp/holdings/news/newsrelease/detail/20240430_3406.html
ゆうちょ銀行の事例
株式会社ゆうちょ銀行は、多様な顧客データ活用とサービス高度化のため、データ分析専門組織の立ち上げと戦略的な人材育成に注力しています。
【データ分析専門組織の立ち上げと人材育成】
・データ分析専門組織の立ち上げ
ゆうちょ銀行ではDX推進の中核としてデータ分析専門組織を設置し、全社横断でのデータ活用体制を構築している。同組織は顧客データや取引履歴を分析し、業務プロセス改善などに活用し、意思決定の迅速化と精度向上を支えている。
・人材育成の仕組み
人材育成では、データサイエンス研修や外部講座、資格取得支援を通じて専門人材を育成するとともに、全行員にデータリテラシー教育を実施。OJTと連動した実践的な学習により、分析スキルの定着と現場での活用力を高めている。
これらの取り組みにより、データドリブンな意思決定を推進し、顧客の金融行動を深く理解することで、最適な商品・サービスの提供と業務効率化を実現しています。
参照元:https://www.japanpost.jp/pressrelease/jpn/20210514_03.pdf
横浜銀行の事例
株式会社 横浜銀行は、Webサイト上で顧客一人ひとりに最適化した「1to1対応」を実現するため、デジタルマーケティング技術を導入しています。
【1to1対応実現の具体的な手法】
・データ統合と分析
顧客の閲覧履歴やクリック・滞在時間などの行動データ、属性情報を統合・分析するマーケティングオートメーションツールを導入。顧客の関心分野や検討段階を把握します。
・リアルタイムでの情報提供
顧客の現在の行動や過去のデータに基づき、Webサイト訪問時に最適なコンテンツをリアルタイムで表示します。例えば、住宅ローンに関心の高い顧客には、金利情報や相談会案内、関連フォームを強調表示するなど、パーソナライズされた情報提供を行います。
この取り組みにより、 顧客は必要な情報へ容易にアクセスでき、サイトの利便性が向上。結果として、資料請求や来店予約の成約率向上とエンゲージメント強化につながっています。
参照元:https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2022/0630-yokohama
ビューカードの事例
株式会社ビューカードはDX内製化を進め、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の両面向上に取り組んでいます。
【内製化による体験向上への取り組み】
・アジャイル開発の推進(CX向上)
従来のシステム開発を外部に頼る体制から脱却し、アジャイル開発を取り入れた内製化を推進。これにより、決済機能の追加や会員向けサービスの改善を迅速に行う体制を構築しました。モバイルアプリ機能強化やWebのUI/UX改善を短期間で実現し、顧客の利便性を向上させています。
・デジタルツールの導入(EX向上)
社内業務効率化のため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や、業務知識を要するデジタルツールの開発を内製化チームが担当。問い合わせ対応やバックオフィス業務の定型作業を自動化することで、従業員が付加価値の高い企画提案業務などに集中できる環境を整備しました。
これらの内製化戦略により、サービス提供の柔軟性を高めるとともに、従業員の働きがい向上と生産性向上を両立させています。
参照元:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_viewcard_cx_ex_case_1/
物流・運輸業のDX事例
物流・運輸のDXは、下記のようなデジタル接点強化と個別最適化でCXを向上し、AIで業務効率化を実現、統合データで経営判断を高度化する取り組みが進んでいます。
- ヤマト運輸…会員制ポータルサイトを通じたデジタルマーケティング
- JR九州…顧客分析基盤の刷新とデータ統合
ヤマト運輸の事例
ヤマト運輸株式会社は、会員制ポータルサイト「クロネコメンバーズ」を中心に顧客接点をデジタル化し、利便性向上とマーケティング強化を進めています
【デジタルマーケティング改善の詳細】
・データ統合と顧客理解
「クロネコメンバーズ」を通じて、発送・受取履歴やWeb行動データ、属性情報を一元管理し、顧客の利用傾向やサービスニーズを可視化。分析により理解を深めています。
・パーソナライズされた体験の提供
頻度の高い発送顧客への法人サービス提案や、受取時間帯に応じた最適な配達設定案内など、行動データに基づき、顧客ごとに最適な情報を配信。
クロネコメンバーズを通じたデジタル接点の強化により、利便性の高いポータルサイトで顧客を囲い込むことでリピート利用率が向上しました。また、顧客がWeb上で自己解決できるサービスを強化した結果、コールセンターへの問い合わせ件数を削減し、対応コストの低減に繋げています。
参照元:https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2022_3_03_06.pdf
JR九州の事例
九州旅客鉄道株式会社(JR九州)は、多角的な事業展開を支えるため、顧客分析基盤(DWH)を刷新し、データドリブンな意思決定の実現を目指しています。
【顧客分析基盤刷新の詳細】
・データ統合の実現
鉄道事業(予約・乗降データ)、流通事業(商業施設、店舗)、不動産事業(マンション)など、グループ内の多岐にわたる事業の顧客データを部門横断で統合。これにより、顧客がどのサービスを、いつ、どのように利用しているかの包括的な顧客像を把握できるようになりました。
・分析スピードの向上
従来のシステムでは時間がかかっていたデータ抽出・分析プロセスを刷新し、データの鮮度と分析速度を大幅に向上させました。
JR九州は顧客分析基盤の刷新により、統合データに基づいた顧客のライフスタイルや利用状況に合わせた最適な商品やサービスのレコメンドを可能にし、顧客エンゲージメントを向上させました。また、各事業の収益構造や相関関係が明確になったことで、グループ全体の経営戦略の策定や投資判断の精度が高まり、データドリブンな経営判断を実現しています。
参照元:https://www.brainpad.co.jp/news/2023/07/11/19946
DX成功の共通点
DX成功には、下記のようなデータドリブンな意思決定と内製化によるアジリティの確保が不可欠です。
【成功の共通点】
- データドリブンな意思決定:統合データで判断し、精度と速度を向上
- 内製化によるアジリティ確保:人材育成で外注依存を減らし、開発迅速化と効率化
【成功企業に共通する特徴】
- データドリブン経営の徹底:トヨタはMIで材料開発を可視化し、パナソニックはAI需要予測で生産最適化を実現
- 内製化による競争力強化:ニトリはAI内製で迅速化、島津製作所は人材育成でDXを自走化し、継続改善を可能に
- 現場起点の改善サイクル:JTや晃祐堂は現場データを蓄積・分析し、品質と生産性改善を同時に実現
まとめ
DXは、データやデジタル技術を用いてビジネスモデルや組織文化を根本から変革し、新たな価値と競争優位性を確立する戦略です。
単なるデータ化(デジタイゼーション)や業務効率化(デジタライゼーション)とは異なり、企業価値の変革を目的とします。
DX成功には、客観的なデータに基づき意思決定の精度と速度を向上させる「データドリブン」の徹底と、専門人材育成を通じた「内製化」による開発アジリティの確保が不可欠です。
よくある質問
DXの身近な例は?
日常生活で身近なDXの事例は多数あります。
- 小売:スマホアプリを使ったモバイルオーダーや決済
- 交通:交通系ICカードやQRコードによるスムーズな乗降、運行情報提供
- エンタメ: AIによる動画や音楽のレコメンド機能
社内DXの具体例は?
社内DXの具体例としては、以下が挙げられます。
- RPA導入による経理・人事業務の自動化
- 電子契約・ペーパーレス化の推進
- グループウェア/SaaS活用による情報共有とリモートワークの促進
- AIチャットボットによる社内問い合わせ対応の効率化
日本でDXが進んでいる業界は?
日本でDXが進んでいる主要な業界は、以下の通りです。
- 金融・保険業:オンライン取引、AI審査、内製化
- 小売・EC業界:OMO、需要予測、パーソナライズ
- 製造業:スマートファクトリー化、AIによる品質管理
- 情報通信業:クラウド技術、ビッグデータ活用、AI開発
属人化しがちな問い合わせ対応に カスタマーサポートツール「Tayori」がおすすめ
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