プロジェクトマネジメントに関する資格一覧|おすすめの資格や難易度も紹介
プロジェクトマネージャーの需要が高まっている昨今、プロジェクトマネジメントへの知識をつけたい人も多いのではないでしょうか。
今回は、これからプロジェクトマネジメントに関わりたい人に向けて、現役のプロジェクトマネージャーがおすすめする資格を紹介します。
プロジェクトマネジメントに関する資格を取得するメリット
プロジェクトマネジメントに関する資格を取ることは、これからマネージャーを目指す人にとっても、すでにマネージャーとして活躍している人にとっても有用です。資格の勉強や取得には、次のようなメリットがあるからです。
<資格を取得するメリット>
- プロジェクトマネジメントのスキルを体系的に学べる
- プロジェクトマネジメントのスキルを客観的に証明できる
- 年収アップの可能性がある
メリット1.プロジェクトマネジメントのスキルを体系的に学べる
プロジェクトマネジメントに関する資格を取る1つ目のメリットは、「プロジェクトマネジメントのスキルを体系的に学べる」ことです。プロジェクトマネジメントには、次のような幅広いスキルが求められます。
<プロジェクトマネジメントに必要なスキル>
- 大局を俯瞰する視野
- コミュニケーションスキル
- ディレクションスキル
- マネジメントスキル
- 課題発見・問題解決能力
- ビジネス・経営に関する知識
- 開発に関する専門知識
多くのことを学ばなければならないため、何から手をつけていいかわからない人や、学習の過程で混乱してしまう人も多いでしょう。
資格取得を目指して学ぶこと、特に参考書を使って学ぶことで、これらの知識を体系的に学べます。
メリット2.プロジェクトマネジメントのスキルを客観的に証明できる
プロジェクトマネジメントに関する資格を取る2つ目のメリットは、「プロジェクトマネジメントのスキルを客観的に証明できる」ことです。
プロジェクトマネジメントには明確な成果物がなく、スキルを客観的に示すためのポートフォリオを作ることは難しいです。携わったプロジェクトを紹介することはできますが、プロジェクトマネージャーのおかげで成功したのか、他のメンバーが優秀だったのかを示すのは困難でしょう。
資格があれば、少なくとも基本の知識を身につけていることは証明できます。
メリット3.年収アップの可能性がある
プロジェクトマネジメントに関する資格を取る3つ目のメリットは、「年収アップの可能性がある」ことです。資格が人事評価や転職活動に、有利に働くこともあります。資格取得者に手当を出す会社もあるでしょう。
特に転職活動では、「資格があったおかげで、より好条件な会社に採用された」ということもあります。
プロジェクトマネジメントに関する資格一覧
プロジェクトマネジメントに関する資格には、次のようなものがあります。それぞれ証明できる能力が異なり、適した業界・領域も違うため、自分のキャリアプランに合ったものを選びましょう。
プロジェクトマネージャ試験(PM) | PMP | P2M | PMOスペシャリスト認定資格 | |
業界・領域 | システム開発 | IT、建設など多領域 | 教育・医療系や行政系を含む多領域 | PMO |
難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
汎用性 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
おすすめな人 | ・PM
・エンジニア ・コンサルタント |
・PM
・ディレクター ・外資系企業に勤める人 ・海外勤務の多い人 ・経営者 |
・PM
・コンサルタント ・経営者 |
・PM
・PMO ・コンサルタント |
プロジェクトマネージャ試験(PM)
名称 | プロジェクトマネージャ試験(PM) |
分類 | 国家資格 |
領域 | システム開発 |
合格率 | 13.4%(※参考) |
受験費用 | 7,500円 |
推定勉強時間 | 50時間~ |
実施者 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
対象者 | IT分野、特にシステム開発の領域で、専門分野を確立している人 |
プロジェクトマネージャ試験(PM)はシステム開発に関わるプロジェクトマネジメントにおける、高難易度の国家資格です。極めて難しい資格ではあるものの、だからこそ転職活動や営業活動、人事評価などで強い武器となるでしょう。
<プロジェクトマネージャ試験(PM)で証明できる能力>
- システム化構想に基づくプロジェクト計画の作成する能力
- システム開発における人材や資源の確保、自律的なマネジメントを促す能力
- 問題への適切な対策・対応を実施し、将来的なリスクに対して早期に対応する能力
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PMP
名称 | PMP |
分類 | 国際資格 |
領域 | IT、建設など多領域 |
合格率 | 非公開 |
受験費用 | 405ドル(PMI会員)、555ドル(一般) |
推定勉強時間 | 100時間ほど |
実施者 | 一般社団法人 PMI日本支部 |
対象者 | プロジェクトマネジメントの実務経験者 |
PMPはアメリカ発祥の国際資格で、業界にかかわらず役立つ資格です。3年ごとに資格更新をしなければなりませんが、知識をブラッシュアップし続けるという意味ではメリットともいえます。
<PMPで証明できる能力>
- プロジェクト推進における「人」「プロセス」「ビジネス環境」に関する知識があること
- メンタリングに関する知識があり、チームメンバーを行動ベースで評価できること
- コンプライアンスやビジネス環境に関する知識があり、柔軟な対応ができること
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P2M
名称 | P2M |
分類 | 民間資格 |
領域 | 教育・医療系や行政系を含む多領域 |
合格率 | 48.8~78.6%(試験により異なる) |
受験費用 | 1万7,000~22万円(試験により異なる) |
推定勉強時間 | 15~45時間ほど(試験により異なる) |
実施者 | 特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会 |
対象者 | 現代日本に特化したマネジメントスキルを身につけたい人 |
P2Mは米国と欧州のプロジェクトマネジメント手法に、さらに日本的なものを加えた、ハイブリットな資格です。資格は内容・レベルごとに4段階(PMC資格試験、PMSプログラム資格試験、PMS資格試験、PMR資格試験)に分かれています。
<資格試験ごとの証明できる能力>
- PMC資格試験:基礎となる資格で、P2M標準ガイドブックの内容を理解していること示せる
- PMSプログラム資格試験:プログラムや会計、ファイナンス、事業戦略に関する知識
- PMS資格試験:プログラムやプロジェクトのマネジメント、事業経営や人材能力の基盤があること
- PMR資格試験:P2Mの実践能力があることを示せる資格で、記述、面談、モジュール試験がある
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PMOスペシャリスト認定資格
名称 | PMOスペシャリスト認定資格 |
分類 | 民間資格 |
領域 | プロジェクトマネジメントの支援(プロジェクトマネジメントオフィス) |
合格率 | 56%(★★) |
受験費用 | 1万3,200円(★)、1万8,700円(★★) |
推定勉強時間 | 24時間~ |
実施者 | 一般社団法人 日本PMO協会 |
対象者 | PMOの現場業務を行う人 |
PMOスペシャリスト認定資格は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の現場業務における知識があることを証明する資格です。(★)と(★★)の2つのレベルに分かれています。
PMOとは「組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援」を行う部門のことで、複数人でプロジェクトマネジメントの支援を実施します。そのための部署を社内に置くこともあれば、外部から導入することもあります。
<PMOスペシャリスト認定資格で証明できる能力>
- PMOに関する知識と技術があること
- PMOに関する知識や技術を活用した経験があること
- 組織的なプロジェクトマネジメントや、その支援ができること
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プロジェクトマネージャーが取得しておきたい資格一覧
ITや開発に関係するプロジェクトを行う場合は、開発に関する専門知識を示せる資格も取得しておくと、プロジェクトマネージャーとして活躍の幅を広げやすいでしょう。
基本情報技術者試験 | ITストラテジスト試験 | |
業界・領域 | IT全般 | IT(上流工程) |
難易度 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
汎用性 | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
基本情報技術者試験
名称 | 基本情報技術者試験 |
分類 | 国家資格 |
領域 | IT領域 |
合格率 | 26.6% |
受験費用 | 7,500円 |
推定勉強時間 | 200時間ほど(未経験、初学者の場合) |
実施者 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
対象者 | ITエンジニアやプロジェクトマネージャーを目指し始めたばかりの人 |
基本情報技術者は、ITエンジニアの登竜門といわれる国家資格です。開発に関する基本的な知識が求められるので、プロジェクトマネージャーを目指したい人が、開発知識や情報技術の活用方法を学ぶためにも役立ちます。
上位資格として「応用情報技術者」があり、それ以降も「ITストラテジスト試験」や先述の「プロジェクトマネージャ試験」などの派生資格があります。キャリアプランに沿って、役立ちそうな資格をいくつか取得するのもいいでしょう。
<基本情報技術者試験で証明できる能力>
- クライアントの課題を情報技術で解決するための戦略立案に参加できる
- 信頼性・生産性の高いシステムの構築、サービスの安定的な運用に貢献できる
- 上位者(エンジニアやディレクターなど)の指導の下、分析や開発などができる
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ITストラテジスト試験
名称 | ITストラテジスト試験 |
分類 | 国家試験 |
領域 | IT領域 |
合格率 | 14.4% |
受験費用 | 7,500円 |
推定勉強時間 | 150時間~ |
実施者 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
対象者 | IT人材としての専門分野をもち、これを活用して事業の改革や高度化、システムの企画・開発を統括する人 |
ITストラテジスト試験は、経営戦略に基づいたIT戦略の策定、ITを活用した事業・業務改革の推進ができることを示す資格です。
外部のステークホルダーと接する機会の多いプロジェクトマネージャーにとって、経営や事業に関する知識は欠かせません。クライアントの求めるシステムを軸をブラさずに開発するためにも、クライアントからの合意を得るためにも、役立つ知識を身につけられます。
<ITストラテジスト試験で証明できる能力>
- 業種ごとの事業特性や経営戦略を踏まえ、ITをどう活用すればいいのか考えられる
- 事業環境やIT動向分析、ビジネスモデル策定に関する助言、事業戦略の策定ができる
- 事業特性や経営戦略を踏まえ、情報システム戦略や全体システム化計画を評価できる
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資格を通じてプロジェクトマネージャーとしてのスキルを向上させよう
プロダクトマネージャーの職域は広く、自分の力量を示しづらい職種ともいえます。人事評価や転職活動では、客観的な指標である「資格」も有効です。また、資格試験やそのための勉強を通じて、自分に足りない知識やスキルを見つけ、効率よく学びを深めることもできます。
まずは自分の携わっている業界・領域ではどんな資格が役立つのか、どんなキャリアプランを描きたいのか、考えてみましょう。そのうえで、今、自分が取るべき資格を探してみてはいかがでしょうか。