
・リファラル採用の基本定義とダイレクトリクルーティング・縁故採用との明確な違い
・リファラル採用を導入するメリット5つと、事前に防ぐべきトラブル(デメリット)5選
・紹介報酬や会食費などの費用相場と、スムーズに導入・運用を進める4ステップ
・制度を成功させるための実務ポイントとメルカリ・サイバーエージェント等の成功事例
自社の社員から知人・友人を紹介してもらう「リファラル採用」は、ミスマッチの防止や離職率低下、採用コストの削減に大きな効果を発揮する注目の採用手法です。
しかし、「興味はあるが何から始めればよいかわからない」「不採用になった際の人間関係やトラブルが心配」とお悩みの中小企業・ベンチャー企業の人事・採用担当者様も多いのではないでしょうか。
本記事では、リファラル採用の基礎知識からダイレクトリクルーティングや縁故採用との違い、導入メリット・デメリット(トラブル回避策)、費用相場、スムーズに運用を軌道に乗せる導入4ステップまで分かりやすく解説します。
【無料】人事・採用担当者向け 業務効率化&組織改善に役立つ資料を今すぐダウンロード
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を紹介・推薦してもらう採用手法です。ミスマッチ防止や定着率向上、採用コスト削減に高い効果を発揮します。
リファラル採用(Referral Recruitment)は、「紹介」を意味する英語「referral」に由来し、全社員がリクルーターとして自社に適した人材を探し出す手法です。
アメリカでは古くから主流の採用手法であり、CareerXroads(CXR)によるフォーチュン100企業を含む大手企業約50社を対象とした調査では、米国企業の約85%が、紹介ボーナスの有無の違いはあるものの、何らかのリファラル制度を導入しているというデータもあります
日本国内でも労働人口の減少や採用競争の激化に伴い、中長期的に質の高い人材を獲得できる手法として導入する企業が急増しています。
出典:杉田 万起 リクルートワークス研究所「米国の社員リファラル採用のしくみ」」
ダイレクトリクルーティング・縁故採用との違い
リファラル採用と混同されやすい採用手法として「ダイレクトリクルーティング」や「縁故採用」があります。これらは「誰が・どのようにアプローチするか」「採用基準をどこに置くか」で大きく異なります。
| 比較項目 | リファラル採用 | ダイレクトリクルーティング | 縁故採用 |
| 主な紹介者・アプローチ主体 | 自社の一般社員 | 採用担当者(人事) | 役員・経営陣・取引先 |
| 対象者 | 既存社員の知人・友人 | ダイレクトスカウトデータベースの登録者 | 役員等の親族・知人 |
| 選考・採用基準 | 通常の選考プロセス(厳正に評価) | 通常の選考プロセス | 特別選考・優遇されるケースあり |
| 主な目的 | カルチャーマッチ向上・コスト削減 | 即戦力獲得・直接アプローチ | 関係維持・身内救済・人間関係重視 |
ダイレクトリクルーティングは人事がデータベース等から直接スカウトを送る手法であり、転職希望者や潜在層へアプローチします。一方、リファラル採用は信頼関係のある社員を介してアプローチするため、より深い相互理解が得られやすい特徴があります。また、縁故採用は経営陣の血縁や特別なコネクションに基づく採用であり、一般的な選考基準が適用されないこともありますが、リファラル採用では通常の採用基準に基づいて公平に選考を行います。
リファラル採用のメリットとデメリットは?
リファラル採用にはコスト削減やマッチング精度の向上など多くのメリットがありますが、人材の偏りや人間関係への影響といったデメリット・注意点も存在します。
制度設計を行う際は、メリットだけでなくデメリットとその回避方法をセットで把握しておくことが重要です。
メリット・デメリット対比表
| 項目 | 具体的な内容 | 発生する影響・特徴 |
| メリット1 | 転職市場にいない優秀な人材を獲得できる | 転職潜在層へピンポイントでアプローチ可能 |
| メリット2 | 自社の社風・文化に合った人材が集まりやすい | リアルな社内事情の共有によりミスマッチを防止 |
| メリット3 | 従業員エンゲージメントが高まる | 自社の魅力を再確認・言語化する機会になる |
| メリット4 | 採用競争・他社とのバッティングを回避できる | 競合とバッティングせず落ち着いて口説ける |
| メリット5 | 採用コスト・掲載料・手数料を大幅削減できる | 求人広告や人材紹介会社への支払いが不要 |
| デメリット1 | 採用する人材に偏りが生じやすい | 似たタイプの人物が集まり多様性が薄れる恐れ |
| デメリット2 | 人間関係や職場環境に影響が出やすい | 不採用時や早期退職時に気まずさが発生 |
| デメリット3 | 採用決定までに時間がかかりやすい | 中長期的な関係構築が必要で即効性に欠ける |
| デメリット4 | 社員が本来業務に集中しづらくなる | 紹介対応や会食増加により業務負荷がかかる |
| デメリット5 | 採用進捗や情報の可視化がしにくい | 個人間の連絡になりやすく人事が状況を追えない |
メリットの解説
1. 転職市場にいない人材も見つけられる:転職活動を行っていないものの「良い会社があれば検討したい」という「転職潜在層」に直接アプローチできます。
2. 自社に合った人材を集めやすい:社風や働き方を熟知している社員が事前にフィルターとなるため、入社後のギャップが少なく、早期離職を防げます。企業全体の離職率の平均値と企業の課題を把握した上で定着率向上を図る際にも非常に効果的です。
3. 従業員エンゲージメントを高めやすい:知人に自社を薦めるプロセスで、社員自身が自社の理念や強みを再認識し、愛社心が高まります。
4. 転職市場の獲得競争に巻き込まれにくい:他社と内定獲得を競い合うリスクが低く、自社のペースで丁寧に選考を進められます。
5. 採用コストを削減できる:人材紹介会社への成功報酬(年収の30〜40%程度)や求人広告費がかからないため、コストパフォーマンスが極めて高くなります。
デメリット(トラブル)と回避方法
トラブル1:人材の偏りが生じやすい
回避方法:全社へ募集を呼びかける際、求めるターゲット像(ペルソナ)やスキルセットを具体的に開示し、多様な部署の社員から紹介を受けられる仕組みを作ります。
トラブル2:人間関係や人材配置に影響が出やすい
回避方法:配属先は紹介者と別の部署にするなどの配慮を行い、連鎖退職のリスクを低減します。また、不採用時も丁寧なフィードバックを行います。
トラブル3:採用までに時間がかかりやすい
回避方法:リファラル採用は即座の補填策ではなく、中長期的・継続的な採用チャネルとして位置づけ、既存の採用手法と併用します。
トラブル4:本来の業務に集中しづらくなる
回避方法:人事側が選考設定やフォローを全面的に引き受け、紹介者である社員の負担を最小限に抑える運用フローを確立します。
トラブル5:採用に関する情報を可視化しにくい
回避方法:専用の管理ツールや社内ポータルを活用し、誰が・誰を・いつ紹介したかのステータスを透明化します。
リファラル採用にはどんな費用がかかる?
リファラル採用の導入・運用にかかる主な費用は「紹介報酬(インセンティブ)」「採用活動費」「外部ツール利用料」の3つです。
求人媒体や人材紹介と比較して圧倒的に低いコストで運用できますが、事前に予算設計が必要です。
1. 紹介者への報酬・インセンティブ(相場:1万〜10万円程度)
協力してくれた社員に対する報奨金(インセンティブ)です。一般的には1万円〜10万円程度が相場とされています。エンジニアや専門性の高い職種、希少価値の高いポジションでは20万〜30万円以上を設定する企業もあります。
なお、報酬を設定する際は、労働基準法第6条(中間搾取の排除)や職業安定法第40条(報酬の供与の禁止)に抵触しないよう、給与手当(紹介手当)として社内規定に明記しておく必要があります。規程の作成方法は「【社内規程の作り方】3つの作成ステップと作成時の注意点を解説」を参考に正しく整備してください。
2. 採用活動費(会食費・イベント費)
候補者とのランチ代、カフェ代、会食費などの実費です。1回あたり数千円〜1万円程度を会社が「採用交際費」として負担することで、社員が気軽に候補者を誘いやすい環境を作ることができます。
3. 外部サービス利用料(ツール導入の場合)
リファラル採用管理プラットフォーム(クラウドツール等)を導入する場合、月額数万円〜十数万円程度のシステム利用料が発生します。初期構築コストや運用の手間を削減できるメリットがあります。
リファラル採用はどうやって始める?導入の4ステップ
リファラル採用を導入する際は「制度設計」「環境整備」「社内周知」「併行運用」の4ステップで進めることが成功への近道です。
【STEP 1】リファラル採用の仕組み・ルールをつくる
↓
【STEP 2】運用を効率化するツールや共有ポータルを準備する
↓
【STEP 3】社員への理解促進と社内周知を徹底する
↓
【STEP 4】他の採用手法(求人広告・人材紹介等)と併せて運用する
STEP1.リファラル採用の仕組みをつくる
まずは評価基準、インセンティブの金額・条件(試用期間終了後に支給など)、対象職種、応募フローを明確にします。ルールが複雑だと社員が躊躇するため、できる限り簡潔なプロセスにすることがポイントです。
STEP2.専用ツールや共有環境を導入する
紹介案件の進捗管理や求人情報の最新化を行うための共有環境を整えます。リファラル専用ツールの導入や、社内FAQサイトの作成が効果的です。「インセンティブの支給条件」「カジュアル面談の申し込み方」などをFAQ形式で一元管理することで、社員が迷わず自発的に行動できる体制を作れます。
STEP3.社員からの理解を集める
「なぜリファラル採用を行うのか」「会社と社員にとってどんなメリットがあるのか」を全社集会や社内報などで周知します。「業務負担が増える」と捉えられないよう、人事のサポート体制も強調しましょう。
STEP4.他の採用手法と併せて運用する
リファラル採用制度を開始してから社内に認知が広がり、最初の採用成果が出るまでには一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度を要します。急ぎで人材が必要な場合は、求人広告や人材紹介などの従来の手法と並行して運用してください。
>>バックオフィス部門向けのお役立ち資料をダウンロードする
リファラル採用を成功させるポイントは?
リファラル採用を定着させるためには「社員の心理的ハードルを下げる工夫」「不採用時の細やかなケア」「長期視点での運用」の3点が不可欠です。
ポイント1.社員が自社を紹介したくなる環境・仕組みを作る
制度を作っただけでは社員は動きません。以下のような工夫で紹介のハードルを下げる必要があります。
・いきなり「面接」ではなく「カジュアル面談」や「オフィス見学」からスタートできる設計にする
・会食費用を事前申請なし(または簡単な報告)で会社精算できるようにする
・求める人物像(ターゲットペルソナ)やQ&Aを社内ポータル等にまとめ、最新情報をいつでも閲覧できるようにする
ポイント2.不採用時のケアを予め検討しておく
紹介された知人が不採用になった場合、紹介者である社員と候補者の人間関係にひびが入るリスクがあります。
・不採用の理由を人事から紹介者へ丁寧に説明する(納得感を高める)
・選考対応に対する感謝を伝え、紹介者・応募者の双方に配慮した丁寧なコミュニケーションを心がける
・「今回のご縁に感謝する」意味を込めて、面談・選考後に小さなギフトや感謝の品を贈る企業もあります
ポイント3.採用まで時間がかかることを認識して進める
制度構築から最初の採用成果が出るまでに約3〜6ヶ月かかりますが、個別の候補者アプローチにおいても、1人の潜在層に「声をかけてから実際の入社に至るまで」には半年〜1年程度の長い期間がかかることも珍しくありません。短期的な数字のみで成果を判断せず、中長期的な採用パイプラインの構築として取り組む姿勢が重要です。
リファラル採用の成功事例
国内でリファラル採用を成功させている企業は、独自の制度設計と丁寧な社内周知によって継続的な採用成果を上げています。
事例1.株式会社メルカリ
メルカリでは全社を挙げたリファラル採用を推進しており、全社員の多数派を占める多くのメンバーがリファラル経由で入社する実績を上げています。
・施策内容:候補者との会食ルールを極力シンプルにし、事前の申請や事後レポートの負担を徹底的に削減。また、職種やテーマを絞った小規模な交流イベントを頻繁に開催し、社員が社外の知人を招きやすい仕組みを構築しました。
・成果・ポイント:業務の合間でも負担なくアプローチできる環境を整えたことで、全社員が日常的にリクルーターとして活動するカルチャーが定着しています。
参考:3つのバリューとワーディングへのこだわり | 株式会社メルカリ
事例2.株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、採用激化への対応とカルチャーマッチの向上を目的にリファラル採用を本格導入しました。
・施策内容:社内ポスターや社内報、動画コンテンツなどを活用し、制度の存在と魅力を全社へ周知。さらに、新しく入社した中途社員向けのオリエンテーション時にリファラル採用の仕組みを説明し、前職の知人や友人へのアプローチを促しました。
・成果・ポイント:全社を巻き込むユニークな継続施策により協力社員が着実に増加。特に入社直後のエンゲージメントが高いタイミングを捉えることで、質の高い紹介を継続的に獲得しています。
参考:サイバーエージェントが教えるリファラル採用の成功ポイントとは
事例3.GMOペパボ株式会社
GMOペパボは2016年頃から本格的な運用を開始し、2019年までの約3年間で34名の優秀な人材をリファラル経由で獲得しました。
・施策内容:Slack内に専用チャンネルを開設し、フランクな相談や紹介をスピーディーに受け付ける体制を整備。また、リファラル採用での成功体験やノウハウを社内に共有・表彰する取り組みを実施しました。
・成果・ポイント:「採用は人事だけのものではなく全社で行うもの」という意識が浸透し、導入初期と比較して紹介経由での採用決定数が7倍以上に飛躍する成果を出しています。
参考:リファラル(社員紹介)からの採用決定数が7倍以上に! ペパボのリファラル採用
リファラル採用が向いている企業の特徴
自社の組織フェーズや課題感によって、リファラル採用導入によるインパクトは大きく異なります。
1. スタートアップ・ベンチャー企業
採用予算が限られている一方で、創業期のカルチャーにフィットする優秀な即戦力を求めているフェーズに最適です。初期メンバーのネットワークを活用することで、質の高いチーム構築が可能になります。
2. 従業員エンゲージメントを高めたい企業
自社の魅力を外部に伝えるプロセスが発生するため、社員の当事者意識や自社への愛着(エンゲージメント)を醸成したい企業に向いています。
3. 中長期的に採用コストを抑えたい企業
毎年多額の採用費用(求人広告費・紹介手数料)が発生している企業が、中長期的に採用単価を下げる自社独自のチャネルを作りたい場合に非常に有効です。
よくある質問(FAQ)
リファラル採用に関して、導入・運用時に人事担当者が直面しやすい疑問や不安をQ&A形式で解説します。
リファラル採用と縁故採用の違いは何ですか?
主な違いは「採用基準」と「紹介者」です。リファラル採用は全社員が対象となり、一般の応募者と同じ厳しい選考基準で判定します。一方、縁故採用は経営陣や取引先の個人的な関係に基づいて行われ、選考プロセスが一部優遇される場合がある点で異なります。
社員に支払う報奨金(インセンティブ)の相場はいくらですか?
一般的な相場は1人採用あたり1万円〜10万円程度です。専門スキルを持つエンジニアやハイクラス人材の場合は20万円〜30万円以上に設定することもあります。金額は社内規程に明記し、給与手当として支給する必要があります。
制度を導入してから成果が出るまでどれくらいの期間がかかりますか?
制度の周知や社内環境の整備を行い、最初に紹介された方が採用決定に至るまでには一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度の期間がかかります。また、声をかけてから入社に至るまでの個別の選考期間としては半年〜1年程度を見込んでおくとスムーズです。
紹介された方が不採用になった場合、どう対応すべきですか?
紹介してくれた社員に対して、人事から不採用の決定理由を丁寧にフィードバックすることが重要です。また、候補者本人に対しても感謝の意を伝え、リスペクトを持った対応を行うことで、社員との信頼関係維持に努めます。
リファラル採用に向いていない企業の特徴はありますか?
社員の離職率が極めて高い企業や、従業員エンゲージメントが著しく低い企業は向いていません。社員自身が「知人に薦めたい」と思える労働環境や評価制度を先に整える必要があります。
社員からの紹介を増やすための工夫はありますか?
求める人物像を具体的に周知すること、会食費用のサポートを行うこと、面接ではなくカジュアル面談から設定できるようにすることなどが有効です。また、社内ポータル等でFAQを設置し、ルールを明確化しておくことも促進につながります。
リファラル採用のルールやFAQはどのように社内周知すればよいですか?
社内ポータルサイトやFAQツールの活用がおすすめです。カスタマーサポート・社内問い合わせ管理ツールの「Tayori」などを活用し、リファラル採用のQ&Aや応募フォームを一括管理することで、社員が迷わずスムーズに応募できる環境を構築できます。
>>バックオフィス部門お役立ち資料の無料ダウンロードはこちら
まとめ:リファラル採用導入の成功には社内周知と情報共有が不可欠
リファラル採用を定着させるカギは、全社員が迷わず利用できる分かりやすいルール設計と社内広報にあります。
リファラル採用は、採用コストの削減やミスマッチ防止、定着率の向上といった多くのメリットをもたらす強力な採用手法です。成功させるための鍵は、「社員が知人を紹介しやすいシンプルな仕組みづくり」と「丁寧な社内周知」にあります。
制度のルールや応募フロー、インセンティブの条件などが不明瞭だと、社員は紹介をためらってしまいます。常に最新の募集要項やFAQにアクセスできる環境を整えておくことが重要です。
社内ルールやQ&Aの一元管理・周知には、株式会社PR TIMESが提供する「Tayori」のFAQ機能やフォーム機能の活用が便利です。カテゴリ別に規程を整理し、検索性の高いFAQページを簡単に作成できるため、社員からの問い合わせ対応の手間も大幅に削減できます。
効果的な社内広報とシステム環境を整え、自社に最適なリファラル採用制度の構築を目指しましょう。


