社内における情報発信やコミュニケーションを図るコンテンツの1つが、Web社内報です。Web社内報は社内のリアルタイムな情報発信や双方向コミュニケーション、社員エンゲージメントの向上などに役立ちます。本記事では、Web社内報の種類や機能、作成方法、ツール選定のポイントなどを解説。導入事例を交えながら、Web社内報の導入と運用を検討している人に向けた情報を伝えます。
【目次】
Web社内報とは
Web社内報とは、社内向けにインターネットで情報発信するデジタルメディアです。目的は社内コミュニケーションの活性化や経営理念浸透、情報伝達の迅速化、社員エンゲージメントの向上など多岐に渡ります。紙媒体と比較すると、Web社内報は情報伝達速度と更新性に優れています。コメント機能による双方向コミュニケーションや、テキストや画像だけでなく動画や音声を活用した多様な表現方法も実現可能。保管や検索も容易で、ペーパーレス化によるコスト削減にも貢献します。
社内コミュニケーションを変える3つの特徴
Web社内報の大きな特徴に「リアルタイム性」があります。緊急ニュースの速報やイベント告知、経営トップのメッセージなどリアルタイムで届けたい情報を、社員へ早急に発信できます。企業Aでは、新規事業に取り組む際にWeb社内報で情報を発信。変化への迅速な対応とコミュニケーション活性化に大きく貢献します。
「双方向性」も重要な特徴です。一方的な情報伝達に留まらず、コメント機能やアンケート、質問箱などを活用することで、社員からのフィードバックや意見を容易に収集。コミュニケーションの活性化が見込めるでしょう。企業Bでは、Web社内報を活用することで制度改善やエンゲージメント強化において双方向性が有効に機能しています。
アクセスログ解析やアンケート分析などの「データ分析機能」を活用することで、記事の閲覧状況や社員の反応をデータとして可視化できます。データに基づいたコンテンツ企画やPDCAサイクルの確立、組織課題の発見が可能です。企業Cではでは、ログ解析により記事が多く読まれている時間帯を推測。Web社内報を戦略的に運用するための指標にしています。
Web社内報の基本機能と仕組み
Web社内報のシステムを構築するにはWebサーバーやデータベース、アプリケーションサーバー等のシステム環境が必須です。基本機能には記事作成や編集、カテゴリ分類、検索、ユーザー・アクセス管理、コメント機能などが備わっていると良いでしょう。認証強化やアクセス制御、データ暗号化、脆弱性対策などセキュリティ対策も重要。運用責任者やシステム管理者、コンテンツ担当者を配置し、運用ルールを策定して運用体制を整えておくことも必要です。
機能カテゴリ | 基本機能 |
コンテンツ管理 | 記事作成・編集機能、カテゴリ分類・タグ付け機能、公開・配信設定機能、テンプレート機能 |
コミュニケーション | コメント機能、アンケート機能、掲示板・フォーラム機能、プッシュ通知機能 |
ユーザー管理 | ユーザーアカウント管理、権限設定機能 |
検索・閲覧 | 検索機能、多デバイス対応 (レスポンシブデザイン)、アクセスログ解析機能 |
セキュリティ | アクセス制御、SSL暗号化、脆弱性対策 |
その他 | 多言語対応、カスタマイズ性・拡張性、ヘルプ機能・FAQ |
Web社内報の種類
Web社内報の種類は、作成するツールの特徴に合わせて大きく分けて3つあります。
1.Web社内報特化型
社内報としての情報発信や社員間のコミュニケーションに特化したタイプです。操作画面がシンプルで分かりやすく、誰でも容易に利用できるケースが多く、「コンテンツ作成に集中できる」「操作が分かりやすい」などのメリットがあります。
2.社内ポータル型
社内ニュースや制度、FAQ、社内ブログ、社員名簿、各種申請機能など社内情報を集約し、ポータルサイトとして提供するタイプ。社内ポータルとしての機能に加え、外部システムとの連携やカスタマイズ、機能拡張などが可能な場合が多いです。情報を一元化できるので、社員は必要な情報に迷うことなくアクセスできるようになります。
3.情報共有ツール型
ビジネスチャットやグループウェア、社内SNSなどの情報共有ツールをWeb社内報として活用するケースです。速報性やリアルタイム性を重視した情報共有に向いています。チャット機能やコメント機能もあるため、社員間の双方向コミュニケーションの活性化にもつながります。
Web社内報の導入で得られるメリット
Web社内報を導入することで、社内コミュニケーションの活性化やペーパーレス化によるコスト削減、情報検索性およびアクセス性向上などの効果をもたらします。以下、Web社内報導入で得られるメリットについて解説します。
社内コミュニケーション活性化とエンゲージメント向上
コメント機能やアンケート機能を活用し、社員からの意見や感想を気軽に収集できます。記事に対する社員の反応を可視化することで、社員同士のコミュニケーションを活性化。例えば社内で新たな制度が導入された際、関連記事にコメント欄を設けて社員からの質問や意見を募り、制度への理解促進と社員の参画意識を高めることができるはずです。
コスト削減とペーパーレス化
紙媒体の社内報で必要だった印刷代や用紙代、印刷業者への委託費用、配布作業にかかる人件費などを大幅に削減できます。紙資源の消費量も削減できるので、環境保護にもつながります。月刊の紙社内報をWeb社内報に移行したことで、年間数百万円の印刷・配布コストを削減できた事例も見られます。
情報検索性とアクセス性の向上
キーワード検索やカテゴリ検索機能を活用することで、過去記事から必要な情報に素早くアクセスできるようになります。保管場所からファイリングされた社内報を探し出す機会も少なくなり、別の業務に時間を割けます。インターネット環境があれば、オフィス内だけでなく自宅や出張先、移動中のスマートフォンなどからもWeb社内報にアクセスが可能です。
リアルタイムな情報共有でスピード経営を実現
Web社内報は紙媒体における印刷・配布の工程がなく、Web上に記事を公開するだけで情報発信できます。記事内容に変更があれば、リアルタイムで修正・更新が可能。誤情報の訂正や最新情報の追記を早急に行えるため、常に最新の情報を社員に提供できます。例えば、業界速報やトレンドキーワードに関する情報をWeb社内報に投稿すれば、社内で最新情報を共有できます。朝礼や定例会議における役員からのメッセージをリアルタイムで届けるために、Web社内報で配信するのも手です。
アクセス解析で効果測定が容易に
Web社内報の効果測定にはアクセス解析が不可欠です。PV数やUU数、滞在時間等のデータから利用状況を可視化することで、課題発見と改善につなげられます。効果測定を行う場面としてはリーチ拡大やエンゲージメント向上、特定コンテンツ誘導などが挙げられます。効果測定にアクセス解析ツールで取得したデータを活用する際には、事前にKPIを設定しておくと良いでしょう。
Web社内報のデメリットと解決策
Web社内報のデメリットとして「情報が埋もれてしまう」「ITスキルや利用環境による情報格差」などが挙げられます。情報を埋もれさせないためには、カテゴリ分けや重要記事のピン留め、メルマガによるリンク誘導などの対策が有効です。ITスキルや利用環境による情報格差には、パソコンだけでなくスマホやタブレットなど複数のデバイスに対応する、シンプルなUIのツールを導入するといった手段を検討しましょう。上記のほか、Web社内報のデメリットとして考えられる項目を解決策とともに表にしました。Web社内報の効果的な運用に役立ててください。
デメリット | 解決策 |
1. 情報が埋もれてしまい、見落とされる可能性 | ・カテゴリ分けやタグ付けを行い、検索性を向上させる。
・重要記事はピン留め機能を活用してトップページで目立たせる。 ・定期的な更新を行い、最新の情報が目に触れるようにする。 ・メールマガジンやプッシュ通知で重要記事を周知する。 |
2. 社員のITスキルや利用環境による情報格差 | ・レスポンシブデザインを採用する。
・シンプルなUI/UXを意識し、直感的に操作できるデザインにする。 ・研修や説明会を実施してITスキルに不安のある社員へのサポートを行う。 |
3. 情報セキュリティリスクの増大 | ・アクセス制御を厳格にし、社内ネットワークからのアクセスのみに限定する。
・VPN接続を必須とする。 ・SSL暗号化通信を導入する。 ・脆弱性対策を徹底し、CMSやサーバーソフトウェアを常に最新の状態に保つ。 |
4. 情報過多による情報疲れ、情報の重要度の低下 | ・情報発信頻度を適切にし、必要以上に発信しない。
・緊急性の高い情報はプッシュ通知、通常の社内報記事はメールマガジンなど情報の重要度に応じて通知方法を使い分ける。 |
5. 紙媒体と比較して、社員の目に触れる機会が減る可能性 | ・Web社内報公開の周知徹底を行う
・定期的なコンテンツ更新を行い、常に新しい情報が掲載されている状態を維持する。 ・更新情報をメールマガジンやプッシュ通知で告知し、定期的なアクセスを促す。 |
セキュリティリスクへの対応方法
Web社内報のセキュリティリスクは多岐に渡ります。主な脅威として考えられるのは、「不正アクセス」「情報漏洩」「マルウェア感染」「サービス妨害」「Webアプリケーションの脆弱性」などです。「社内ネットワークに限定する」「VPN接続を必須にする」などアクセス制御の強化や、データ暗号化、ウイルス対策ソフト導入、脆弱性対策などを実施しましょう」。社員へのセキュリティ教育も不可欠です。セキュリティポリシー策定および周知や定期的なセキュリティ研修、セキュリティ担当の配置などが有効です。多層的な対策と継続的な運用により、セキュリティリスクを最小限に抑えて安全なWeb社内報運用の実現が可能となります。
成功企業に学ぶ!Web社内報活用事例3選
Web社内報は企業規模や業種を問わず多くの企業で活用され、企業文化の醸成や情報共有の活性化に貢献しています。ここでは、企業のWeb社内報活用事例を3例紹介します。
事例1:「act」(株式会社アイシン)
アイシングループでは、2021年から全従業員がアクセスできるWebグループ報「act」を配信。グループ経営理念の浸透や従業員同士のコミュニケーション促進を目的に、会社への理解を深める、従業員の奮闘を伝えるなどさまざまな記事が掲載されています。記事にはリアクションやコメント機能があり、参加型の社内報として好評です。「どんな製品があって、どの車種に搭載されているのかよく分からない」といった従業員の声をもとに立案された企画「実は…このクルマにもアイシン」では、設計・製造担当の従業員が「実は…」なポイントを解説。製品に関する新たな気づきやアイシンに対する誇りを持てるような内容が連載されています。
参考プレスリリース:アイシンのWebグループ報「act」が「社内報アワード2024」でグランプリを受賞
事例2:「HARMONY」(セイコーエプソン株式会社)
エプソングループ報「HARMONY」は、1956年に「だいにせいこう諏訪版」として創刊され、1989年に現在の名称となりました。「HARMONY」は創刊以来、紙媒体で発行されてきましたが、コロナ禍での働き方の変化を受けて2020年10月よりWeb社内報に移行。紙媒体で培ったノウハウを生かしつつも、Webに適した企画や構成、ライティングにより、さらなる進化を遂げました。2023年7月からは「noteエプソン公式ページ」で「HARMONY」の記事の一部を公開し、エプソングループの取り組みや社員の思い、現場の熱量を伝えるコンテンツを発信しています。
参考プレスリリース:エプソングループ報「HARMONY」が、「社内報アワード2023」のWeb/アプリ社内報部門でグランプリを獲得
事例3:「Aflac Weekly News」(アフラック生命保険株式会社)
アフラック生命保険株式会社では、動画とWeb、PDFを組み合わせた社内広報を展開。社員に向けて経営に関わる重要な情報の理解および浸透と、「人財エンゲージメント」の向上を図っています。同社の社内報は、1977年11月に「あふらっく広場」として創刊されました。1987年には音声ニュース、1989年には動画ニュースの配信を開始し、週1回の配信頻度を確立。当初はビデオテープを各拠点に送付していましたが、2000年以降は衛星配信に切り替わり、2020年にストリーミング配信へと進化しました。「Aflac Weekly News」では、コアバリューに基づくCSV経営や中期経営戦略・経営戦術などの情報を発信。組織や社員の貢献に焦点を当てたコンテンツも配信し、社員のモチベーション向上に努めています。
参考プレスリリース:「社内報アワード2024」における「ゴールド賞」の3年連続受賞について
Web社内報の作り方
Web社内報の作成方法は、大きく分けて「自社制作」と「外部委託」の2つです。Web社内報を自社制作する場合、「CMS利用」と「独自開発」の2つの手段があります。CMS利用は低コストでカスタマイズ性も比較的高いものの、一定のITスキルが求められます。独自開発は高度なカスタマイズが可能ですが、開発期間とコストがかかります。
外部委託する場合は、「SaaS型サービス利用」と「制作会社への委託」が考えられます。SaaS型は導入が手軽で低コスト、運用が容易なツールもあります。しかし、カスタマイズ性は限定的であるケースが多いです。制作会社委託は高品質なものが期待できる分、費用は高額になる傾向にあります。「手軽さと低コストを重視するならSaaS型」「カスタマイズ性や長期運用を考えるならCMS利用」「独自性や高度な連携を求めるなら独自開発」「高品質を求めるなら制作会社委託」というように。自社の予算や人員体制など、目的と規模に合わせて最適な方法を選択してください。
Web社内報ツールの選び方
Web社内報ツールを選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、特に重要なポイントを5つに絞ってご説明します。これらのポイントを念頭に置いてツールを比較検討することで、自社に最適なWeb社内報ツールを見つけることができるでしょう。
選び方1:運用目的に必要な機能を備えているか
ツール選定で重要なのは、Web社内報導入の目的に合致した機能が備わっているかです。導入目的がコミュニケーションの活性化であればチャット、ナレッジ共有であれば検索機能など目的によって必要となる機能はさまざまです。コンテンツの作成および編集、コメント、アンケート、検索機能、ユーザー管理など自社のWeb社内報に必要となりそうな機能をリストアップし、過不足なく対応できるか確認してください。
選び方2:誰でも簡単に使えるか
Web社内報は、基本的に全社員が使うツールです。操作が複雑だとWeb社内報の利用頻度が低くなり、効果を実感できないリスクも有り得るため、誰でも簡単に操作できることが必須です。ITスキルを問わず直感的に使えるUI/UXであるか、記事作成・編集画面が分かりやすいかなどを意識してツールを選定すると良いでしょう。無料トライアルやデモ環境を活用して実際に操作感を試し、現場社員の意見を聞くことも大切です。
選び方3:セキュリティ対策が十分であるか
社内情報を扱うWeb社内報では、セキュリティ対策は最重要項目です。不正アクセス対策としてアクセス制御や二段階認証できる、情報漏洩対策としてSSL暗号化やデータ暗号化できるなど、セキュリティ対策が十分であるかを必ず確認してください。脆弱性対策やマルウェア対策、DoS/DDoS対策などもできるとより安心・安全にWeb社内報を運用できます。ツール提供事業者のセキュリティポリシーや認証取得状況も確認し、安全な運用体制を構築できるツールを選びましょう。
選び方4:費用対効果に見合っているか
Web社内報のツールを導入するには、費用が発生します。使いたい機能がたくさんあるからと「あれもこれも」と付けようとすると、いつの間にか予算オーバーしている可能性があります。初期費用や月額費用、オプション費用、サポート費用を含めた総費用を比較検討し、予算内で最大限の効果が得られるツールを探しましょう。ただし、予算の関係で妥協しすぎるのではなく、「何を優先するか」を明確にし、料金と機能を総合的に評価したうえで選定を進めましょう。
選び方5:サポート体制が整っているか
Web社内報の運用において、ツールを提供する側のサポートは欠かせません。電話やメール、チャットなどを利用したサポート窓口、対応時間、対応内容、日本語対応の可否などを確認しておきましょう。導入支援や運用、技術面でのサポートがあるか、FAQやヘルプが充実しているかもチェックしてください。無料トライアルがあるなら、期間中にサポートを利用してみて対応品質を評価するのもおすすめです。
まとめ
本記事では、Web社内報の目的や基本機能、メリット・デメリット、ツール選定のポイントなどについて解説しました。Web社内報の目的は、社内における情報伝達の迅速化や双方向コミュニケーション、社員エンゲージメントの向上などがあります。導入する際は、Web社内報を運用する目的を明確にし、予算と機能を総合的に評価したうえでツールを選びましょう。
シンプルな操作で簡単にWeb社内報を作るなら、TayoriのFAQを活用するのもおすすめです。作成したFAQを社内で共有すれば、Web社内報として活用できます。詳しい機能や料金について知りたい方は、下記リンクをクリックしてください。