近年注目されている「働き方改革」。働き方改革は、労働者だけでなく人手不足の解消や労働生産性の向上といった、企業にとってのメリットも大きいものです。
本記事では、働き方改革の基本的な考え方や、歴史を紹介。働き方改革を行う際に確認すべき法令や制度についても解説します。
これから働き方について再検討していきたい、と考えている方は参考にしてみてください。
働き方改革とは?
働き方改革とは、労働者それぞれの事情を踏まえた「多様な働き方」の実現を目指す、政府主導の取り組みです。(※1)
例えば、育児や介護をしながら自宅で働いたり、健康や障がいなどの事情を踏まえて労働時間を短くしたりなど。働き方改革では、誰もが働きやすく、活躍できる社会を目指します。
多様な働き方を選択できるための改革
働き方改革は、多様な働き方を選択を目指す取り組みです。では、多様な働き方とは、どのような働き方を指すのでしょうか。
働き方改革を推進する厚生労働省では、在宅勤務の普及や副業・兼業を促進するガイドラインの作成、健康上の課題を抱える人への就労支援などに取り組んでいます。
労働者それぞれがもつ事情や多様性を積極的に受け入れ、1人ひとりに合った労働環境をつくることが、働き方改革の目指す社会です。
働き方改革が始まった背景
働き方改革が始まった背景には、深刻な人手不足があります。
日本の労働人口は年々減少しています。「週5日勤務、1日8時間労働」のような働き方ができる人は、今後も減り続けていくでしょう。
働き方改革が進めば、今まで働けなかった人たちも働けるようになり、労働人口の減少に歯止めをかけられるのです。
働き方改革を行うメリット
人手不足の解消を目指して始まった働き方改革には、人材確保や労働生産性の向上といったメリットがあります。
働き方改革を推進することで、企業としてどのような利益が得られるのかを紹介します。
人材の確保に繋がる
働き方改革の推進は、人材の確保に繋がります。
働き方改革が進めば、育児や介護と仕事の両立や、健康上の課題や障がいをもつ人の社会での活躍が期待できます。さまざまな制限から、働きたくても働けなかった人たちが、働けるようになるのです。
労働生産性の向上
働き方改革は、労働生産性の向上にも繋がります。
例えば、デザイナーやコピーライターなどの仕事は、オフィスでなくともできます。仕事をしやすい手順や方法も、労働者1人ひとりで異なるでしょう。
ほかにも事務職や営業職など、どんな職種であっても、より働きやすい環境を模索することは可能です。1人ひとりに働きやすい環境を提供することは、生産性の向上に繋がります。
働き方改革を行う際に確認するべき制度や対応
働き方改革は、あくまで多様な働き方を実現するための取り組みです。働き方改革によって労働契約そのものや、雇用主と労働者の関係性が変わるわけではありません。
働き方改革で確認すべき制度や対応は、従来の働き方とあまり変わりません。とはいえ、慣れない働き方改革に取り組むにあたり、不安は多いでしょう。
次からは、働き方改革で特に気を付けたい制度や対応について解説します。
働き方改革関連法
働き方改革の根幹には、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」があります。
働き方改革の基本的な考え方を明確にし、継続的な取り組みをするための基本方針が定められています。長時間労働の是正や、労働者を不当な待遇から守るための制度など、働き方改革に関するさまざまな法律・制度の根幹となる法律です。
36協定
36協定は、労働者に時間外労働をさせる際に必要な届出です。(※2)
36協定では、「1日」「1ヵ月」「1年」の範囲ごとに、時間外労働の上限を定めています。
例えば、時間外労働と休日労働の合計時間の上限は、月間100時間未満と定められています。しかし、2~6ヵ月の平均が80時間以内にすることも定められており、両方を同時に守らなければなりません。
労働契約を書面で交付
労働契約を結ぶには、労働条件を明示した書類を交付しなければなりません。(※3)
労働条件とは、賃金や労働時間のことです。働き方改革で推進されているリモートワークや在宅勤務には、公私の境目が曖昧になりやすく、長時間労働に繋がりかねないという問題点もあります。
労働条件を明示した書類を交付し、契約内容を守ることで、労働者は安心して働けるのです。
労働者が10名以上の場合、就業規則の作成・届け出
就業規則とは、会社と労働者、それぞれが安心して働くためのルールです。しかし、就業規則を単なる社内ルールと捉えてはいけません。
労働基準法第89条では、「10名以上の労働者を使用する場合、就業規則を定め、行政官庁に届け出ること」を義務付けています。労働時間や災害補償など、就業規則で定めるべき内容にも細かな規定があります。(※4)
賃金台帳や労働者名簿などの作成・保存
雇用主には、賃金台帳や労働者名簿を作成し、保存することが義務付けられています。
労働基準法第109条によると、雇用主が作成・保存すべき書類は「労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」にあたるものです。(※5)まとめて「法定三帳簿」と呼ばれることもあります。
書類の保存期間は、書類の種類や法改正により変動する可能性があります。現に2020年4月には、今まで3年としていた保存期間が5年に延長されました。
これからも働き方改革が進むにつれ、ルールの変更があることも考えられます。定期的に知識のアップデートをしていくことが重要です。
不合理な待遇差が出ないようにする
厚生労働省は、雇用形態の差による不合理な待遇差が出ないようにと、「公正な待遇の確保」を呼びかけています。
具体的な取り組みとして、「同一労働同一賃金」の促進があります(※6)。給与は労働者の能力に応じて、賞与は会社の業績への貢献度合いに応じて金額を決定すべきあり、正規雇用や非正規雇用といった雇用形態で変動すべきではないという考え方です。
働き方改革に関する助成金
働き方改革を推進する企業には、助成金が支払われることがあります。助成金にはいくつかの種類があり、働き方改革をどのように推進するのかという内容や、何を目的としているのかによって対象となるものは変わります。
いずれの助成金も、長時間労働の是正や最低賃金の引き上げなど、働き方改革の主旨に合う取り組みを支援するものです。非正規雇用者のキャリアアップを促進する助成金もあり、正社員登用を含む処遇改善に取り組みに対して、助成金が支払われます。
助成金の詳細な内容や種類は、厚生労働省の働き方改革特設サイトで確認できます。タイミングにより内容・種類が変動する可能性もあるので、ときどきチェックするといいでしょう。
できる範囲から働き方改革に取り組もう
働き方改革と聞くと、リモートワークや在宅勤務を思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、働き方改革にはさまざまな方法があり、リモートワークや在宅勤務は方法の1つでしかありません。
「改革」「助成金」などと聞くと、大規模なプロジェクトを行うように感じる人も多いでしょう。
しかし、働き方改革は、社員が働きやすくするためのルール作りのようなもの。小さく始めやすいものも多くあります。まずは、社内規約やルールの見直しなど、できる範囲から働き方改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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※参考サイト