世界中で注目されている「ダイバーシティ」。海外での注目度の高さに比べ、日本にはダイバーシティが浸透していません。
本記事では、日本でダイバーシティが浸透しづらかった理由や、日本ならではのダイバーシティの意味も解説。
ダイバーシティを企業が推進する際に検討すべき3つのことも紹介します。
ダイバーシティの意味とは?
ダイバーシティとは、人材のもつ多様性を認め、企業の成長に活かそうという考え方です。
まずは、ビジネスにおけるダイバーシティの意味と、多様な人材を活かす「ダイバーシティ・マネジメント」について、解説します。
ダイバーシティの意味
ダイバーシティ(diversity)は、直訳すると「多様性」という意味です。
ビジネスにおけるダイバーシティの意味は、単純な多様性というよりも、「個人・集団の中にある多様性や違い」という意味だといえるでしょう。
ダイバーシティ・マネジメントとは
ダイバーシティ・マネジメントとは、多様な人材を活かすために、1人ひとりの能力を最大限発揮できる機会を提供しようという考え方です。多様性を受け入れるだけでなく、積極的に活かしていくことが、イノベーションや価値想像に繋がると考えられています。
ダイバーシティ・マネジメントは、国や公的機関も推進する考え方です。例えば経済産業省は、2015年に、ダイバーシティ・マネジメントを広げるために「ダイバーシティ経営企業100選・ベストプラクティス集」という冊子を発行しました。
ダイバーシティ・マネジメントを取り入れようという動きが、国家レベルで広がっているといえるでしょう。
ダイバーシティ経営が広まった背景
ダイバーシティ経営が広まった背景には、女性やマイノリティの人々に対する、採用の積極化があります。
海外は日本と比べ、女性やマイノリティへの差別問題に対する意識が高く、差別問題を解消する一環として、ダイバーシティ経営が広まったのです。
一方日本では、人手不足解消の一環として、ダイバーシティが注目を集めています。
少子高齢化により、労働人口が減り続ける日本では、人手不足は深刻な社会問題です。今まで労働人口として考えられた人材だけでは、日本の人手不足は解消できません。
年齢や国籍の多様性を認めるダイバーシティ経営が広まることは、新たな労働人口の確保に繋がります。多様な働き方の実現を目指す「働き方改革」でも、人手不足の解消に繋がるとして、高齢者や外国人の雇用を推進しています。
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日本でダイバーシティが重要視されにくかった原因
日本は海外に比べて、ダイバーシティが重要視されてきませんでした。単一民族に近かった日本では、「多様性を認める」という考え方が、普及しづらかったのです。
次に、日本でダイバーシティが重要視されにくかった原因と、日本ではどのような意味でダイバーシティが使われているのかを解説します。
単一民族に近かったことが大きな原因
日本にダイバーシティの考え方が浸透しなかった大きな要因として、日本は単一民族に近い民族構成だったということが挙げられます。
黒人や白人をはじめとする、さまざまな人種が暮らす海外では、人種差別の問題も根深いです。人種差別の問題を解決するための一環として、ダイバーシティが注目されるのは、必然といえるでしょう。
一方、日本には、近代になるまで日本人以外の人種はほとんどいませんでした。また、日本人はみな黄色人種であり、海外のような「肌の色の違い」による差別はほとんどありません。
人種差別の少なかった日本では、ダイバーシティの必要性も低かったのです。
日本では性別・ワークスタイルなどの意味で使われることが多い
海外と比べて人種差別のない日本におけるダイバーシティは、性別やワークスタイルなどの意味で使われることが多いです。
育児や介護などの事情を踏まえ、1人ひとりが働きやすい環境をつくることが、日本のダイバーシティの主な意味です。
例えば、男女問わず遠慮なく育児休暇を取りやすい環境を整え、休暇後の職場復帰をサポートする仕組みを作る。健康上の問題でフルタイム勤務ができない人に、時間を限定した勤務やリモートワークを提案するなど、ダイバーシティを実現するにはさまざまな方法があります。
企業がダイバーシティを推進する際に検討するべき3つのこと
次からは、企業がダイバーシティを推進する際に検討するべき、3つのことをお伝えします。
人種・性別・国籍などの普遍性を認めるという大前提から、ダイバーシティを企業の成長に活かすために必要なことなど、企業におけるダイバーシティに特化して解説します。
1.人種・性別・国籍などの普遍的な多様性は当然認める
ダイバーシティには、人種や性別、国籍などの多様性は当然認めるという、大前提があります。
日本で働く外国人労働者は増えている一方、日本国内の労働人口は減少し続けています。外国人雇用による人手不足の解消のためにも、人種や国籍の多様性を認めることは重要です。
性別の多様性は、単に「男か女か」ということだけでなく、「自分の性をどう自認しているのか?」というジェンダーのことも指します。
身体の性と心の性が一致しない人や同性愛の人など、性自認や性的嗜好による偏見をなくすことが、ダイバーシティにおける「性別の多様性」です。
2.「視点」「発想」「働き方」の多様化を進めよう
ダイバーシティを推進する際は、「視点」「発想」「働き方」の多様化を進めることも大切です。
人種や国籍、性別の多様性を認めるダイバーシティを進めていくうちに、企業にはさまざまな視点・発想をもつ人材が集まるでしょう。視点や発想の多様化が進むことには、今まで気付けなかった視点に気付き、新しい発想が生まれやすくなるというメリットがあります。
また、ダイバーシティでは、働き方の多様化を進めることも重要です。
労働者のもつ多様性を企業の成長に活かそうというダイバーシティでは、労働者1人1人にとっての、働きやすい環境作りが必要です。人種や国籍の違いから、日本の働き方が合わない人。健康や障がいのために、従来的なフルタイム勤務ができない人への配慮ができなくては、ダイバーシティは実現しません。
3.複数の価値観や働き方が存在しても誤解や軋轢がうまれないルール作り
ダイバーシティを進めるうえで重要なのが、複数の価値観や働き方が存在しても、誤解や軋轢がうまれないルール作りです。
1つの企業に多様性のある人材が集まるということは、同じ場所で、いくつもの価値観や働き方が混ざり合うということです。異なる価値観・働き方の間で誤解や軋轢がうまれるようでは、ダイバーシティは逆効果になってしまいます。労働者のパフォーマンスも、企業全体の生産性も下がってしてしまうでしょう。
ダイバーシティでは、互いの価値観を尊重しあい、異なる働き方を認め合うことが大切です。労働者1人1人の意識改革や、誤解をうまずに情報共有するための、ルール作りが必要です。
ダイバーシティを推進するには働き方改革がポイント
ダイバーシティを推進するには、働き方改革も同時に進めることがポイントです。
多様な働き方を認め、より働きやすい社会の実現を目指す働き方改革でも、ダイバーシティは重要な位置付けにあります。人材の多様性を認め、積極的な採用を行っていくことは、人手不足の解消にも繋がるからです。
ダイバーシティの「人材の多様性を、企業の成長に活かす」という目的のためにも、働き方改革の推進は重要です。1人ひとりにとって働きやすい環境作りをすることで、多様な人材がもつポテンシャルを最大限に発揮できます。誰もがオープンになり、意見交換できる環境がなければ、多様な視点や発想も活かせません。
ダイバーシティと働き方改革は、セットで推進するようにしましょう。多様な人材と働き方が合わさってこそ、ダイバーシティは成功するのです。
また、ダイバーシティと働き方改革を進める際には、「社内のルール作り」が重要となります。また、ルールを制定するだけでなく、社内に浸透させることも忘れてはいけません。
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