FAQシステムは、Frequently Asked Questions(よくある質問)を管理するシステムです。ユーザーが疑問や問題をすぐに解決できるよう、よくある質問と回答をWebページにまとめて一元的に整理・公開することができます。
FAQと聞くと「質問と回答が並んだ単純なリスト」と思われがちですが、デジタル技術の進歩に伴い、多機能・高機能なFAQシステムが誕生しています。
本記事では、FAQシステムの種類や主な機能、導入による具体的なメリット、さらにはシステム選定で気を付けたいポイントについて詳しく解説します。
FAQシステムとは
FAQは、ユーザーの疑問や問題を素早く解決するためのコンテンツです。
FAQシステムでは、よくある質問と回答を一元的に整理・公開することでユーザーによる自己解決を支援します。これにより、サポート業務の効率化が図られると同時に、顧客満足度の向上なども期待できます。
FAQシステムの種類
FAQシステムは、対象となるユーザー別で主に以下の3つに分類されます。
顧客向け
顧客向けのFAQシステムは、顧客からの問い合わせが多い質問と回答をリストにし、「よくある質問」としてページ公開するのに適しています。疑問や問題を素早く解決でき、顧客満足度の向上などが期待できます。また、問い合わせ件数の削減も進み、カスタマーサポートの業務効率化に繋がります。
オペレーター向け
オペレーター向けのFAQシステムは、主にコールセンターやヘルプデスクのオペレーターの業務マニュアル・ナレッジベースとして利用します。過去の対応内容やフローを各オペレーターが参照でき、サポート品質の標準化が進みます。属人化が解消され、新人スタッフの教育にも役立ちます。
社内向け
社内向けのFAQシステムは、従業員からの問い合わせを削減するのに効果的です。主に人事、経理、総務、情報システムなどのバックオフィス部門で導入されます。会社のルールや手続きの方法などを必要なときに何度でも参照でき、スムーズなバックオフィス業務を実現します。
FAQシステムの基本機能
FAQシステムは、主に以下の機能で構成されています。
コンテンツ作成機能
FAQシステムの運用でまず真っ先に行うのが「質問と回答」の作成です。テキストや画像、表などを組み合わせながら、FAQを複数作成していきます。
FAQページは一度作って公開したら終わりではありません。公開後も継続的にFAQの新規追加や更新を行うことで、問い合わせ件数の削減などの効果が高まっていきます。
検索機能
FAQシステムの根幹となるのが検索機能です。ユーザーが求めている回答に素早くたどり着けるよう、さまざまな検索方法を組み合わせることが重要になります。
検索機能は主に以下が挙げられます。
自然文検索 | キーワード以外にも日常で使うような自然文(話し言葉)で検索できる。 |
サジェスト検索 | キーワードを入力した際、検索者のニーズを予測して次の候補キーワードが自動的に表示される。 |
タグ検索 | FAQに関連キーワードをタグ付けすることで、同じタグ付けがされたFAQだけをピンポイントで検索できる。 |
カテゴリ検索 | FAQを大まかなカテゴリに分類し、カテゴリ別で検索できる。 |
並べ替え表示 | FAQの更新日時や閲覧数(人気順)による並べ替え表示ができる。 |
高度な検索機能をもったFAQシステムだと、キーワード検索の表記揺れに対応していたり(例:「FAQ」と「エフエーキュー」を同一と扱う)、閲覧中のFAQと合わせてよく閲覧されているFAQをレコメンド表示したりといったことができます。
分析機能
分析機能は、FAQページの利用状況や検索履歴のデータを取得・分析できる機能です。各データを定期的に分析することで、FAQページの改善に役立てることができます。
分析機能で主に確認できるデータは以下になります。
閲覧数 | どのコンテンツがどのくらい閲覧されているかを分析できる。 |
検索数・検索キーワード | ユーザーがどのような検索を行っているかを分析できる。 |
評価機能 | コンテンツへの「いいね」など、ユーザーからどのくらい評価されているかを分析できる。 |
レポート機能 | 閲覧数や検索数などの各指標をまとめて、FAQシステムの利用状況をレポーティングできる。 |
FAQシステムの導入メリット
FAQシステムの種類や基本機能の次は、具体的な導入メリットを解説します。
問い合わせ件数の削減
FAQシステムによってユーザーの自己解決が増えれば、そのぶんカスタマーサポート部門への問い合わせ件数を削減できます。問い合わせ件数を減らせれば、担当者の負担軽減、別業務への注力、部門規模縮小によるコスト削減などを実現できます。
単純な問い合わせはFAQページでの自己解決を促し、複雑な問い合わせは個別の有人対応でサポートするといった住み分けが可能となり、業務リソースの最適化がさらに進むでしょう。
顧客満足度の向上
疑問解消までに時間がかかるほど顧客の不満は高まります。FAQシステムを導入すれば、質問ごとに回答を明文化するので、早期の自己解決や担当者のスムーズな顧客対応が実現できます。
全体の解決スピードが上がることで顧客満足度は向上し、ひいてはリピート率の向上や解約率の低下が期待できます。
一元管理による業務効率化
FAQシステムで情報を一元管理することで、誰もがスムーズに必要な情報を引き出すことができます。管理するファイル・場所が分散していると、必要な情報を探すのに時間がかかってしまい、顧客対応が遅れたり業務が停滞したりします。
属人化の防止・教育コストの削減
FAQシステムはナレッジベースとしても活用できます。オペレーターや窓口担当者が業務から得た知識や経験、解決方法を日々追記していけば、システム上にナレッジが集約・蓄積されます。これにより、業務経験に依存せず、誰でも顧客対応ができる体制をつくれます。
ベテランの従業員が退職したとしてもノウハウが無くなることはありません。また、蓄積されたナレッジをそのまま新人教育に活かすことで教育コストを抑えることもできます。
顧客ニーズを掴める
FAQシステムには、各ページの閲覧数や検索数などを分析できる機能があります。分析機能を活用することで、「どんな疑問をよく抱くのか」「なにに困ることが多いのか」など、顧客ニーズを定量的に掴むことができます。
FAQシステムの選定ポイント
FAQシステムを選ぶ際には、以下のポイントに気を付けましょう。
導入目的や体制に合っているか
FAQシステムと一口にいっても、機能の種類や充実度、費用は多種多様です。機能は絞られているが使い勝手のいい安価なシステムか、高精度な機能が数多く揃っている大型なシステムか、導入目的や業務リソースに合ったシステムを選ぶことが重要です。
まずは、FAQシステムのユーザーが誰なのか、上述した「顧客向け」「オペレーター向け」「社内向け」といった対象をハッキリさせましょう。
また、現状のカスタマーサポート体制も考慮しないといけません。例えば、担当者が少数しかいなかったり他業務と兼務していたりすると、運用に割けるリソースが少なく、往々にして多機能なシステムは使いきれないことが多いです。無駄な費用が発生しないよう、しっかり使いきれるシステムかどうかを吟味しましょう。
使いやすいか(ユーザビリティ)
FAQシステムの使いやすさは、ユーザーの利便性に直結します。ITスキルの有無に関係なく誰でも直感的に操作できるか、欲しい情報を速やかに見つけられるかが重要です。
ユーザビリティは顧客満足度や運用スピードに大きく影響します。使いやすいかどうかを確認するために、まずは無料トライアルやデモ版の利用をオススメします。
外部ツールと連携できるか
外部ツールとAPI連携ができれば、より効率的にサポート業務を進められます。
例えば、Googleアナリティクスと連携ができればFAQページのアクセス数などを分析することができ、どのコンテンツがよく見られているのかを把握できます。FAQシステムの選定時には、既に導入している外部ツールと連携できるかをチェックしてみてください。
システム形態が適しているか
FAQシステムとチャットボット
FAQシステムとチャットボットは、ユーザーの疑問に答えるという点では導入目的や効果が同じです。それぞれの違いを把握したうえで、どちらが適しているか慎重に検討しましょう。
チャットボットは、一問一答の対話形式でユーザーの疑問に答えます。あらかじめ用意したシナリオに沿って答えたり、AIが過去の対話ログを解析して自動で答えたりなど、チャットボットの種類はさまざまです。
対して、FAQシステムは、FAQごとにページを設けられるため文章や記事形式でユーザーの疑問に答えます。検索性も高いため、大量のFAQを扱うのに長けています。
クラウド型とオンプレミス型
FAQシステムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。
クラウド型は、インターネット環境があればいつでもどこでもFAQを編集・管理できます。導入後すぐに利用できる、外部ツールと連携しやすい、初期費用・月額料金が安いといった強みがあります。
一方、オンプレミス型は、自社専用のサーバーが必要になります。そのぶん導入コストは高いですが、カスタマイズ性が優れている、セキュリティがしっかりしているといった強みがあります。
まとめ
FAQシステムは、問い合わせ件数の削減やサポート業務の効率化はもちろんのこと、顧客満足度の向上、サービス品質の改善にも大きく貢献します。競争が激しい今日のビジネス環境において、欠かせないシステムの一つです。
FAQシステムを効果的に導入できれば、企業の競争優位性を高めることができるでしょう。例えば、部門担当者が少数の場合、運用リソースに限りがあるため、最小限の工数で運用できるシステムが適しています。
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