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価格改定するための3つの準備とサポート心構え

はじめに

はじめまして。フォーム・FAQ作成がノーコードでできるカスタマーサポートツール「Tayori」の事業責任者をしている竹内と申します。この記事では、Tayoriが直近価格改定をした中でどのように考え、CSの観点で準備をしていったかをまとめました。

今後同じようなシーンが発生する場合にカスタマーサポートやカスタマーサクセスの方にお役立ちできれば幸いです。

※この記事は日頃カスタマーサポート調査やセミナー企画でご一緒しているCS HACKさんの「CS HACK Advent Calendar 2023」の19日目に参加しています。

目次
1.はじめに

2.価格改定するための3つの準備とサポート心構え

STEP① 意思決定に必要な要素を確認する
STEP② 準備する
STEP③ 反響へ対応する

2.最後に

価格改定するための3つの準備とサポート心構え

Tayoriでは、ご提供プランの価格改定を2023年11月におこないました。

詳細の変更はプレスリリースをご覧ください。

SaaS(Software as a Service)では他社さまも含めて、円安におけるインフラコストの増大などに対応して価格改定(金額の値上げ)を判断する企業がいらっしゃいます。

私たちTayoriというサービスは、2015年から運営しているのですが、長く低価格で使いやすく提供しており、また私が2022年の8月に参画するまではシステム内部の機能アップデートを中心に実施しており目に見えたアップデートをようやく直近できはじめた状況でした。そういった中で、価格改定に際していかにステークホルダーの皆さまが、ポジティブに価格改定を受け取ってくださり、今後のプロダクトに期待してもらえるのかを慎重に検討して準備してきました。

そのプロセスやコツを共有することで、少しでもご検討される方の参考となれば幸いです。

今回私たちが検討したSETPは3つとなります。

  • STEP①意思決定に必要な要素を確認する
  • STEP②準備する
  • STEP③反響へ対応する

 

STEP①意思決定に必要な要素を確認する

 1.チャーン(解約率)が落ち着いていること

これはSaaSビジネスの大前提に思いますが、解約率が高い状態だと価格改定はさらなる解約を促すことになるのでできません。解約率が高いのは、1)現在のプロダクトの価値が正しく伝わっていないか、2)現在の価格に対して価値が見合っていないかという状態です。この場合は、まず値上げではなくこの2点を解消する活動が必要です。Tayoriの場合は、お陰様で多くのお客さまにプロダクトを継続的にご利用いただいてる状態だったため、意思決定を進めることができました。また解約率の基準は、ご利用の規模(エンタープライズ:大手企業 or SMB:中堅中小企業)や利用シーン(一度導入したら業務プロセスに組み込まれリプレイスしにくいもの or 都度ニーズが発生し検討しやすいもの)で変わってきますのでご注意ください。一般的には、月間で2%未満なら及第点、1%未満なら優秀だと言えるのではないでしょうか。

 2.プロダクトに価値を感じていただいてること

上述しましたが、現在のプロダクトに価値を感じていただいているのが大前提になります。導入してくださっている企業が、何故使っているのか、どのような費用対効果を感じているのかが大きなポイントとなります。Tayoriでは主に以下の2点を検討いたしました。

  • 価値(費用対効果)=アウトプット(効果)/インプット(費用)が説明できるか
  • 競合他社とのポジショニングが崩れないか

価値については、チャンレートから定量的に判断するだけではなく、何社がお客さまに直接お声を聞き、業務プロセスに組み込まれアウトプットとして価値を感じていただいている(導入後問い合わせが半減したなど)ことで確信につながりました。

 3.アップデートをしており、これからも予定していること

冒頭でふれましたが、直近では機能アップデートを反映でき始めていましたし、今後も順調に開発ロードマップを計画して推進できる体制と準備ができていました。アウトプットを増やせていること、今後もその見込みがあることで、インプットである費用を増す材料ができました。

 

STEP②準備する

 1.メンバーと一枚岩になる

事業として価格改定の意思決定をした後に、メンバーへ共有いたします。誰か一人でも納得していないと、その姿勢は企業姿勢となって顧客へ伝播しますし、社内メンバー内での迷いとなります。文字通り一枚岩になるために、STEP①に加えて事業計画としての必要な理由を伝えています。メンバー全員が主体者にならなければ失敗におわります。ここは非常に重要なプロセスとなります。

 2.広報チームとの連携
価格改定はどうしてもマイナスイメージを想起しやすく、解約のきっかけになります。事業目線と顧客目線をうまく統合するために広報チームにプレスリリースをブラッシュアップしてもらいます。当社では、初稿を想いとともに作成し、その後を広報と一緒に練り上げていきます。その過程を通じて、伝え方ひとつや内容について当事者となる担当者が再考し、メッセージの核となるものを作成しました。また、アウトプットを先にイメージすること、次のコミュニケーションの解像度を高めることができました。

 3.顧客コミュニケーションの整理

コミュニケーションをしていくにあたり、対象とチャネル毎に整理をしていきます。Tayoriでは有料プランをご利用の方(月契約or年契約)、無料プランでご利用の方、商談中やこれから検討している方の3つにわかれました。それぞれで、プロダクト内のお知らせ、FAQページの作成、料金表の改修、提案資料の変更、個別のメールなど適切なものを割り当てていき、ご案内を行っています。
※作成したお知らせはこちら FAQページはこちら

また、コミュニケーションのタイミングの参考に他のサービスを調べてみると、最短で1か月ほど、3か月、長くて1年というものがありました。ここは解約率の基準でわけた物差しや各社の方針があるかと思います。今回のTayoriの場合は、約1か月で実施しており、11月1日から改定に対して9月22日に告知しています。

 

STEP③反響へ対応する

準備が整った後に、プレスリリース発信を皮切りに、FAQや個別ご連絡を開始していきます。ご負担になるのは事実ですし、変更の準備など社内で必要になるかもしれません。相手の立場を理解し、寄り添って対話することを意識しました。一方的なお伝えにせずご意見を受けながら、しかし最終的には価格改定の背景や今後への想い、そして変更の事実をお伝えいたします。

準備した結果、問い合わせ数は現サポート体制で対応できる範囲で、大きなトラブルに発展することはありませんでした。また、あらかじめ作成したFAQはアクセス数多くあり、こちらで疑問の解消に貢献できたと考えています。

 

最後に

Tayoriでは、カスタマーサポートにお役立ちできる情報を提供しています。CS HACKさんとご一緒している「カスタマーサポート失敗学」の第二回目を2024年1月23日(火)に開催いたします。第一回目は100名を超える方に申込をいただき好評なシリーズです。無料ですので是非ご参加ください。
今後も、カスタマーサポートの皆さまの生産性が高まることを情報提供してまいります。

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